所作を整えて自分を大切にする

日々のこと

所作に興味が出始めたきっかけは、職場に新卒の女の子が入社したことでした。

若いし、なにもかもが新鮮で、はち切れんばかりの若さ。

いろんな人たちに、チヤホヤとされているのを見て、嫉妬しました。

お恥ずかしい限りです。

当時私はもう40になるところ。もう、彼女のようにみんなにチヤホヤされるということはなくなっていました。

外見も、心も昔と違って成長してしまい、彼女のような謙虚さ、エネルギー、新鮮さはない。昔からの若い、ということでなんとなく生きやすく周りも甘やかしてくれていた感覚が抜けませんでした。

若さがなくなった自分には、何もない、この先どうやっていきていこうと本気で思いました。自己肯定感もめちゃくちゃ低く、周りが敵だらけに見えていたので「自分には味方がいない」という考えからよりいっそう焦燥感がすごかったのです。

かといって

下手に若作りをするのは嫌だったし、整形だってお金もかかる・・・。服装、髪型を変えようと思ってもずっと変わらないまま時がすぎ今のまま。やっても意味がないだろうと、外見を整えることで彼女に対抗しているように思えてやりませんでした。

社会経験はまああるけれどもだからといって誇れるものがあるわけでもない。お金だって、貯金だって人並み以下。

これからどうしようかとあがいてあがいて、いつもとおり答えを求めるために手当たり次第に本を借りまくり(買わない)たくさん本を読みました。

そのおかげである日、図書館で何気なく期待もせずに手を取った本。それが私に勇気を与えてくれました。

「若いうちはなんとかエネルギーや美しさでやっていけるかもしれない。けれども、年をとったときに何も残っていないような人間になってはだめよ。私はもう若さもないけれども、ビジネスとマナーと、経済の知識を身に着けた。今までお茶や着物なんか若い時に習ったけれども、それもまあ役には立ってはいるわ。けどそれ以上にビジネスの知識のほうが全然役に立っているわ。」

と、大体こんなことを本の中で、60歳の女社長が語っていた。(タイトルを忘れました)

その言葉のおかげで私は、年をとることにネガティブだったけれども希望を持ちはじめました。

「そうか、年を取っても消えない教養と知識を身につければいいんだ!ビジネスを学ぼう!」と。

これからはそれを武器にしよう、目標にしようと。

我ながら単純(笑)しかし、人間希望や目標がもてると不思議と元気が湧いてくるんですね。

目標を持ったあとの行動は早い。

手当たり次第に、借りられる本を借りまくり一通りよみまくりました。図書館の人なんか不審な目で見てたと思います。毎回10冊以上借りて2週間くらいで返却して、本当にこの人よんでるのかしら?とか思われていそう。しかも会社の制服姿で来るあたり、サボりかな?とも思われていたと思いますねハイ。

着物はもう当時習っていたのでよしとしました。あとはビジネス、経済についての本を図書館に行って読み漁るが、これがどうも私には難しすぎてわからなかった。当たり前、今まで興味関心もなかったのだから。

しかし、なんとなくだけれども同じような本を数冊よんでいるうちに商売の仕組みが見えるようにななりました。そしてなんとなく商売の仕組みがわかると、目線が会社経営者の目線になり、上司から見た部下の行動、売上、ライバル会社など、雇われているだけではわかりえない視点に気づくことができました。

ビジネスを知ると、今まで通っていた道も違う光景に見えておもしろいんですね。「どうして今安売りをしたんだろう。」とか、考えるようになりました。月商1億と月収一億の違いとか。そして、お金もちの考え方も。

世界を知る、自分の知らないことを学ぶと視点が変わり、世界が広がりそれだけでも自分が成長した気になります。学ぶというのはとてもいいことです。

そしてその中でも、所作が一番効果が早かったです。

なぜなら即効性があるし、「今ここ」というマインドフルネス的にメンタルにいい影響を与えてくれたから。

丁寧にものを置く(指先まで余韻を残すように)

音を立てない

席をたつときは、椅子をもとの場所に戻す

机の上のものはまっすぐそろえる

人にものを渡すときは両手で、渡すものをそろえて渡す

靴を脱いでから、しゃがんで後ろ向きに靴をそろえる

いただきますと食べる前に言う(言わなくても礼をする)

などなど・・・

所作を意識している間は、「今ここ」を感じられ余計なこと、周りの雑音や目線、そして心の中にあるモヤモヤしたものを忘れることができます。

所作が身についてきたかな?というころ、外で少しイライラしていたことがあったのですが、身についた行動がいつもとおり丁寧な動作だったので、それを無意識にしている自分を感じて「ああ、こういう動作を見ているだけでも落ち着くな。」と我にかえりました。

(・・・たまにいますよね、機嫌が悪いとバン!とか音をたてる人。)

所作を整えるために、自分に集中していますからその時だけは、自分以外のものには興味がいかないんです。

そしてとても自分のことを大切に扱っているという気持ちにもなりました。

自然と、持っているものに対しても愛着がうまれ、靴を磨いたり、カバンをふいてみたり、洋服の毛玉をとってみたりと、自分が使っているものに対しても愛情がうまれるようになりました。

服に対しても、「これはテンションがあがらない。どうせなら気に入った服を着ていったほうがいいな。」と、いつも着ていく服にこだわるように。そして、いちいち着ていく服に悩むのが面倒だったので、ちゃんと服の勉強をし、私服を制服化することにより服に対して悩む時間を減らすことに成功しました。(これが一番のストレス解消!)

それから些細な違和感を確認するように。

居心地の悪い部屋、なにが嫌なのかを探して直してみたり、日常の中で使いづらい、ちょっとなんだかモヤモヤするスムーズにいかないことを自分なりに解決するようになりました。いつもなら放置して気にも留めなかったんですけれども。

(例えば、コップの茶渋、自分のために弁当を作る、見ていると嫌な思い出がよぎるものを捨てる、使いづらいペンを捨てる、ベッドの上にカバーをかけて生活感が出ないように隠す等)

ああ、自分を大切にしているなぁ。

自分と向き合っているなぁ。

こういう感覚を感じられると思います。

ぜひ、所作を実践して「今ここ」を感じてみてください。

日々の生活の中で、自分を大切にするというのはなかなか意識しないとできないと思います。それでも所作を使えば、職場でもどこでも場所を選ばずいったん自分に戻ることができます。

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